終戦の詔書(玉音放送)

 明日で大東亜戦争(太平洋戦争/アジア・太平洋戦争/日中戦争/第二次世界大戦)の終戦から80年が経ちます。今回は大東亜戦争終戦の詔書(いわゆる玉音放送)について見てみましょう。黒文字は原文、青文字は常用漢字兼平仮名、赤文字は現代語訳です。なお、原文、常用漢字はWikipediaより、現代語訳はGimini及び、私の訳です。

「大東亞戰爭終結ノ詔書(大東亜戦争終戦の詔書)」

 朕󠄁深ク世界ノ大勢ト帝國ノ現狀トニ鑑ミ非常ノ措置ヲ以テ時局ヲ收拾セムト欲シ玆ニ忠良ナル爾臣民ニ吿ク

 朕深く世界の大勢と帝国の現状とに鑑み非常の措置を以て時局を収拾せむと欲し茲に忠良なる爾臣民に告く

 私は世界の状況と我が国の現状を特別の措置によってこの状態(戦争状態)を終わらせたいと思い、ここに忠実な国民に告げる。

 朕󠄁ハ帝國政府ヲシテ米英支蘇四國ニ對シ其ノ共同宣言ヲ受諾スル旨通󠄁吿セシメタリ

 朕は帝国政府をして米英支蘇四国に対し其の共同宣言を受諾する旨通告せしめたり

 私は、帝国政府に対して、アメリカ、イギリス、中国、ソ連の四カ国へ、その共同宣言(ポツダム宣言)を受け入れることを通告させた。

抑〻帝國臣民ノ康寧ヲ圖リ萬邦共榮ノ樂ヲ偕ニスルハ皇祖皇宗ノ遺󠄁範ニシテ朕󠄁ノ拳々措カサル所󠄁曩ニ米英二國ニ宣戰セル所󠄁以モ亦實ニ帝國ノ自存ト東亞ノ安定トヲ庻幾󠄁スルニ出テ他國ノ主權ヲ排シ領土ヲ侵󠄁スカ如キハ固ヨリ朕󠄁カ志ニアラス然ルニ交󠄁戰已ニ四歲ヲ閱シ朕󠄁カ陸海將兵ノ勇戰朕󠄁カ百僚有司ノ勵精朕󠄁カ一億衆庻ノ奉公󠄁各〻最善ヲ盡セルニ拘ラス戰局必スシモ好轉セス世界ノ大勢亦我ニ利アラス加之敵ハ新ニ殘虐󠄁ナル爆彈ヲ使󠄁用シテ頻ニ無辜ヲ殺傷シ慘害󠄂ノ及フ所󠄁眞ニ測ルヘカラサルニ至ル而モ尙交󠄁戰ヲ繼續セムカ終󠄁ニ我カ民族ノ滅亡ヲ招來スルノミナラス延󠄁テ人類ノ文󠄁明ヲモ破却スヘシ斯ノ如クムハ朕󠄁何ヲ以テカ億兆ノ赤子ヲ保シ皇祖皇宗ノ神靈ニ謝セムヤ是レ朕󠄁カ帝國政府ヲシテ共同宣言ニ應セシムルニ至レル所󠄁以ナリ

 抑々帝国臣民の康寧を図り万邦共栄の楽を偕にするは皇祖皇宗の遺範にして朕の拳々措かさる所 曩に米英二国に宣戦せる所以も亦実に帝国の自存と東亜の安定とを庶幾するに出て他国の主権を排し領土を侵すか如きは固より朕か志にあらす 然るに交戦已に四歳を閲し朕か陸海将兵の勇戦朕か百僚有司の励精朕か一億衆庶の奉公各々最善を尽せるに拘らす戦局必すしも好転せす 世界の大勢亦我に利あらす 加之敵は新に残虐なる爆弾を使用して頻に無辜を殺傷し惨害の及ふ所真に測るへからさるに至る 而も尚交戦を継続せむか終に我か民族の滅亡を招来するのみならす延て人類の文明をも破却すへし 斯の如くむは朕何を以てか億兆の赤子を保し皇祖皇宗の神霊に謝せむや 是れ朕か帝国政府をして共同宣言に応せしむるに至れる所以なり

 そもそも、日本国民の安寧を確保し、世界の国々と共に栄えることを楽しむのは、代々の天皇が残してきた教えであり、私が常に心掛けてきたことである。先にアメリカとイギリスに宣戦布告した理由も、実に日本の自存と東アジアの安定を心から願うものであり、他国の主権を侵害したり、領土を侵したりするようなことは、もとより私の意志ではない。しかしながら、戦争はすでに4年に及び、我が陸海軍の将兵の勇敢な戦い、役人たちの勤勉な働き、そして一億国民の奉公、それぞれが最善を尽くしたにもかかわらず、戦況は必ずしも好転せず、世界の情勢もまた日本にとって有利ではない。それに加えて、敵は新たに残虐な爆弾(原子爆弾)を使用し、何度も罪のない人々を殺傷し、その被害が及ぶ範囲は、まったく計り知れないほどである。もし、このまま戦争を続ければ、ついには我が日本民族の滅亡を招くだけでなく、ひいては人類の文明をも破壊してしまうだろう。そうなれば、私はどのように我が子ともいえる多くの国民を守り、歴代天皇の御霊に謝罪すれば良いのか。これこそが、私が帝国政府に命じて共同宣言に応じさせるに至った理由である。

 朕󠄁ハ帝國ト共ニ終󠄁始東亞ノ解放ニ協力セル諸盟邦ニ對シ遺󠄁憾ノ意ヲ表セサルヲ得ス帝國臣民ニシテ戰陣ニ死シ職域ニ殉シ非命ニ斃レタル者及其ノ遺󠄁族ニ想ヲ致セハ五內爲ニ裂ク且戰傷ヲ負ヒ災禍ヲ蒙リ家業ヲ失ヒタル者ノ厚生ニ至リテハ朕󠄁ノ深ク軫念スル所󠄁ナリ惟フニ今後帝國ノ受クヘキ苦難ハ固ヨリ尋󠄁常ニアラス爾臣民ノ衷情󠄁モ朕󠄁善ク之ヲ知ル然レトモ朕󠄁ハ時運󠄁ノ趨ク所󠄁堪ヘ難キヲ堪ヘ忍󠄁ヒ難キヲ忍󠄁ヒ以テ萬世ノ爲ニ太平󠄁ヲ開カムト欲ス

 朕は帝国と共に終始東亜の解放に協力せる諸盟邦に対し遺憾の意を表せさるを得す 帝国臣民にして戦陣に死し職域に殉し非命に斃れたる者及其の遺族に想を致せは五内為に裂く 且戦傷を負ひ災禍を蒙り家業を失ひたる者の厚生に至りては朕の深く軫念する所なり 惟ふに今後帝国の受くへき苦難は固より尋常にあらす爾臣民の衷情も朕善く之を知る 然れとも朕は時運の趨く所堪へ難きを堪へ忍ひ難きを忍ひ以て万世の為に太平を開かむと欲す

 私は、日本と共に終始一貫して東アジアの解放に協力してくれた同盟国に対して、遺憾の意を表さざるを得ない。戦場で亡くなり、職務に殉じ、戦災で死を遂げた国民とその遺族に思いを馳せると、身が引き裂かれる思いである。また、戦場で傷を負い、戦災に遭い、家や職業を失った人々の生活については、私が深く心配するところである。思うに、これから日本が受けるであろう苦難は、言うまでもなく並大抵のものではない。あなたたち国民の本当の気持ちも、私はよく分かっている。しかし、私は時の巡り合わせに従い、堪えがたいことを堪え、忍びがたいことを忍んで、未来永劫のために平和な世を切り開こうと思う。

 朕󠄁ハ玆ニ國體ヲ護持シ得テ忠良ナル爾臣民ノ赤誠ニ信倚シ常ニ爾臣民ト共ニ在リ若シ夫レ情󠄁ノ激スル所󠄁濫ニ事端ヲ滋クシ或ハ同胞排擠互ニ時局ヲ亂リ爲ニ大道󠄁ヲ誤󠄁リ信義ヲ世界ニ失フカ如キハ朕󠄁最モ之ヲ戒ム宜シク擧國一家子孫相傳ヘ確ク神州ノ不滅ヲ信シ任重クシテ道󠄁遠󠄁キヲ念ヒ總力ヲ將來ノ建󠄁設ニ傾ケ道󠄁義ヲ篤クシ志操ヲ鞏クシ誓テ國體ノ精華ヲ發揚シ世界ノ進󠄁運󠄁ニ後レサラムコトヲ期スヘシ爾臣民其レ克ク朕󠄁カ意ヲ體セヨ

 朕は茲に国体を護持し得て忠良なる爾臣民の赤誠に信倚し常に爾臣民と共に在り 若し夫れ情の激する所濫に事端を滋くし或は同胞排擠互に時局を乱り為に大道を誤り信義を世界に失ふか如きは朕最も之を戒む 宜しく挙国一家子孫相伝へ確く神州の不滅を信し任重くして道遠きを念ひ総力を将来の建設に傾け道義を篤くし志操を鞏くし誓て国体の精華を発揚し世界の進運に後れさらむことを期すへし 爾臣民其れ克く朕か意を体せよ

 私は、ここに国体(天皇制)を護り通し、忠実で善良なあなたたち国民の真心を信頼し、常にあなたたち国民と共にある。もし、感情の激するままに、むやみに事件を起こしたり、あるいは同胞同士でいがみ合い、互いに国の情勢を混乱させ、そのために進むべき道を誤り、世界からの信用を失うようなことは、私が最も強く戒めることである。どうか、国を挙げて一つの家族のように子孫に受け継ぎ、日本の不滅を固く信じ、責任は重く道は遠いことを心に留め、持てる力のすべてを未来の建設に注いでほしい。道義を重んじ、志を固く持ち、誓って日本の優れた特性を発揮し、世界の進歩に遅れないように努力しなければならない。あなたたち国民よ、どうか、私のこの思いをよく理解し、行動してほしい。

用語の解説ー
朕⋯天皇が使用する1人称
帝国政府⋯日本政府。日本は戦前、大日本帝国と名乗っていた。
ソ連⋯現在のロシア
ポツダム宣言(共同宣言)⋯日本に無条件降伏を促した連合国の文書


 玉音放送で一番有名なフレーズといえば「堪へ難きを堪へ忍ひ難きを忍ひ以て万世の為に太平を開かむと欲す(上記文章中の下線部)」ですよね。皆さん、この部分の訳を戦争が辛くて耐えて忍んで大変だったね的な意味で取っている方が多いですが、違います。「これからの復興はつらいけど耐え忍んで頑張ろう」という意味なのです。詔書はただ敗戦を伝える文ではなく、「我々は東アジアの解放のため、戦ったが負けてしまった。しかし、私たちは一丸となって、未来の為に、全力を尽くしていこう。」という昭和展のメッセージがこもっているのです。

 戦後日本は、象徴天皇制となりつつも、天皇陛下のもと、国民が死ぬ気で努力を重ね、日本を復興させてきました。

 私が終戦の詔書が好き?な部分はこのように秘められたメッセージがあることです。皆さんも是非、明日の正午に終戦の詔書(玉音放送)を聞いてみてはいかがですか?

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